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1人の男が言った。 「俺のものにならないぐらいなら、死んでしまえばいいのに‥‥‥」 そう言った男は実の弟の首を絞めながら優しくキスをした。 BLACK OUT 兄貴は変態だ、と良守は思う。 だって、実の弟に告白をしたり(あれは驚いた)、キスをしたり(ファーストキスを返せ!!)、首を絞めながら泣くし(泣くの初めて見た)、だと思ったら行き成り帰ってしまうし(分けわかんねぇー!!!)。 一体兄貴は何がしたいんだ?っと良守は正守に首を絞められてすっかり痣になってしまった首を撫でながら風呂に入って考えた。 季節はいつの間にか真冬になってしまい、薄手の仕事着にマフラーと手袋だけでは夜の仕事は堪えてしまい、すっかりと冷えてしまった体を温かいお湯で温める。 浴槽は湯気で真っ白、良守の頭も真っ白。 全てが真っ白の世界。 お湯の心地よい温度に半分夢心地だった脳ミソで良守は考える。 兄はいつからああなってしまった‥‥‥? っと言うよりも、「俺の物に」って何‥‥‥? お湯が気持ちいい‥‥‥。 兄貴は‥‥‥、俺は‥‥、一体何を言われた‥‥‥? あぁ。世界が回る‥‥‥目の前が暗くなる‥‥でも、このまま眠らして‥‥‥。 「良守ッッ!!!!!」 目を開けると視界いっぱいに兄貴の顔が映って、条件反射?それとも吃驚した?からか兄貴を気づいたら思いっきり殴り飛ばしていた。 「‥‥‥ぁ、ごめん」 殴った事に気がつくまで約3秒、何をしたかを理解できなかった。 殴った後、直ぐに布団に押し倒された事も。 「お前、風呂場で倒れたらいいんだよ。覚えてない?原因はのぼせただけなんだけど‥‥‥のぼせるまで何をして‥‥‥いや、何を考えていた?」 正守はそう言うと痣になっていた首筋に指を持って行きなぞる様にそこに触れる。 「ここ、やっぱり痣になっちゃったか。ゴメンな‥‥‥でも、いつまでも残ればいいのにな」 言っている事が矛盾している。 痣を作ったのは正守自身なのに、残ればいいって‥‥‥。 「こんなの残ったら大変なのは俺なんだ。父さんやジジイや利守、時音に何て言えばいいんだよ。」 そう言うと正守は苦笑いして「じゃぁ、他の所に付けてもいい?」っと言ってきたので良守は「見えないところなら」っと答えた。 既に時刻は朝方。 AM4:35っと時計の針は指している。 いつもの良守なら熟睡している時間なので頭は回転どころか思考回路が狂っている。 今なら空を飛べそうっという気がすると思えるぐらいだから、そうとう狂っている。 心臓付近に正守の唇が触れチリッとした痛みが走ったと思ったら、そこには紅い鬱血痕があった。 「これ‥‥‥なに??」 良守は虚ろな眼をしながら、その紅い鬱血痕を撫でるように触る。 「ん?キスマークって知ってるか??」 「なんとな、く」 良守の瞳と脳が遮られていた睡眠欲に勝てずに段々と現れてきた。 「心臓付近に付けたのは、せめてものお願い。」 「おねが、い‥‥‥?」 そこで良守はブラックアウト。 夢の中へと旅立った。 だから、ここからは正守と今に沈みそうな月が知っている話。 「そう、お願い。良守が俺を好きになってくれる、って言う都合のいいお願い」 そう呟きながら、寝ている良守の唇にそっと自分の唇と添えた。 兄の想いは弟には伝わらずにBlack Out ー07.11.10ー |